2004年07月14日

鎌鼬

何となく好きな妖怪だったりする。

【鎌鼬(カマイタチ)】
◆出自◆
北海道〜本州、四国に伝承有り(特に雪国に多い)
◆性格◆
人を切る
◆容姿◆
鋭い鎌状の爪を持つイタチと言われるが、姿は見えない
◆解説◆
つむじ風に乗って現れ、人の体を切ってゆく妖怪。切られた時は痛みを感じず出血も無いが、後から激痛と大出血に襲われ、死に至る場合もある。
傷は概ね、下半身に受けることが多い。
岐阜県飛騨地方では三人組の神とされ、一人目が人を倒し、二人目が切りつけ、三人目が薬を塗ってゆくので出血しないのだという。
愛知県東部では「飯綱(イヅナ)」とも混同されている。飯綱使いの元から逃げた飯綱が鎌鼬になるとされる。
新潟・長野県では暦を踏むと鎌鼬に遭うとされ、古い暦の灰を傷口につけると傷が治るといわれる。
鎌鼬現象は一説に、真空状態の大気に人肌が触れて出来る傷だとも言われるが、証明はされていない。
◆補足◆
鳥山石燕はカマイタチの字に、中国妖怪の「窮奇(キュウキ)」を当てている。こちらは虎の前足に翼がついた姿をしており、善人を喰らい、悪人に褒美を贈るひねくれもの。両者は全く似ていない。
姿が見えないはずなのにイタチに似るとされるのは、『耳袋』に載っている話から。つむじ風に巻かれてくるくる廻っていた二人の子供を助け出すと、兄の背中に足跡が残されていたそうだ。
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2004年07月13日

メリュジーヌ

クードレットの『メリュジーヌ伝説』を読んだので、今日はメリュジーヌについて。

【メリュジーヌ】
◆出自・出典◆
フランス民間伝承、ジャン・ダラス『メリュジーヌ物語』、クードレット『メリュジーヌ物語、あるいはリュジニャン一族の物語』
◆性格◆
賢明。幸運をもたらす。
◆容姿◆
優雅で美しい貴婦人。
本当の姿は、下半身が銀色と紺碧色に輝く蛇の尾で、背に翼の生えた美女。
◆解説◆
父はアルバニア王エリナス、母は妖精モルガンの姉妹プレジーヌ。パレスティーヌ、メリオールという二人の姉がいる。
母との約束を破った父王を幽閉したことで、姉妹はそろって母から呪いを受ける。メリュジーヌは土曜日の度に下半身が蛇になってしまう体となった。
妖精女王として泉のほとりに暮らしていたが、メリュジーヌが土曜日に何をしているか決して探らない、という約束を交わしたレイモンドと結婚。10人の異形にして優秀な息子を生む。
夫を助け、リュジニャン一族繁栄の立役者となるが、疑心暗鬼にかられたレイモンドが約束を破ったため、悲しみにくれて城を後にする。
その後、リュジニャン一族は急速に衰退してしまう。
メリュジーヌは「幸運をもたらす存在」であり、去ることによって幸運が失われてしまうのである。
◆補足◆
リュジニャン家は11世紀から13世紀に隆盛した実在の一族で、妖精メリュジーヌを始祖としている(リュジニャンの名はメリュジーヌから来ているという)。
覗き見をすることによって、相手の神性を知り、結果相手に去られてしまうというのは物語の類型の一つである。我が国にも記紀神話の「出産中、八尋鰐に変身する豊玉比売命(トヨタマヒメノミコト)」や、昔話の「鶴女房」など、覗き見(=約束を破ること)をタブーとする物話がある。
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2004年07月12日

スライム

コンピューターRPGでもお馴染みのモンスター。大抵「弱い」モンスターに設定されているが、実は結構恐いモンスターだったりする。

【スライム】
◆出典◆
ジョセフ・ペイン・ブレナン『スライム』
◆性格◆
底知らずの食欲で活動する
◆容姿◆
半流動状。不定形。生きた泥の塊に例えられる。
◆解説◆
名前の意味は「汚らしい粘液」。
太古の昔から海底に棲み、あらゆる生物を消化吸収して生きてきた。何ヶ月も食べずに生きられるが、食べた直後に空腹になる。
激しい地下の爆発により、地上に放り出された。
地上では悪夢のようなスピードで動くことが可能。光と炎が弱点。
スライム型モンスターは他にも「ブロッブ(粒状の液体)」「アメーバ(不定形原生動物)」「ウーズ(ぬめりのある泥)」などの呼び名がある。
スティーブ・マックイーンの映画「絶対の危機 人食いアメーバの恐怖」のスライム型モンスターは冷気のみが弱点である。こちらは外宇宙から飛来した生物という設定で、次第に大きくなっていくところが恐い。
◆補足◆
ブレナンが『スライム』を発表したのは1930年代のアメリカで人気だったファンタジー・ホラー専門誌「ウィアード・テールズ」であるが、この雑誌では他にも様々な作家によってスライム的モンスターが生み出された。クトゥルフ神話の「ショゴス」も、その一つであろう。
余談だが…
・ブレナンの『スライム』は邦訳があり、ソノラマ文庫海外シリーズ『魔の誕生日』に収録されている。
・映画「絶対の危機 人食いアメーバの恐怖」は7/24にDVDが発売する。
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2004年07月11日

ドッペルゲンガー

世界には似たものが三人居る…とも言われるが…。

【ドッペルゲンガー】
◆出自◆
全世界
◆容姿◆
衣服の細部に至るまで、自分と全く同じ容姿
◆解説◆
ドイツ語で「二重に出歩く者」の意。ダブル(二重体)ともいう。
もう一人の自分を見かけたり、出会ってしまう現象で、ドッペルゲンガーを見てしまった人間は遠からず死んでしまう。
全世界的に報告されている現象であり、有名人を列挙するだけでも、ゲーテ、フロイト、シェリィ、エカテリーナ女王、リンカーン、ヘミングウェイなどが、また我が国でも、清少納言や芥川竜之介などが見たらしい。
では何故ドッペルゲンガーが死の予兆であるのか。
それを説明するのにドッペルゲンガーの正体を、何らかの理由で肉体から遊離した「幽体」であるとする説がある。
これには霊魂が複数から成るという考えが元にある。エジプトでは「バー」と「カー」、中国では「魂(コン)」と「魄(ハク)」、西洋では「アストラル体」と「エーテル体」などと呼ばれる概念だ。このうち、それぞれ後者が生きている内に体から抜け出してしまったものがドッペルゲンガーとして認識されるのだという。
◆補足◆
精神医学ではこの現象を「オートスコピー(Autoscopy 自己像幻視)」といい、一種の幻覚だとしている。
幽体にしろ幻覚にしろ、ドッペルゲンガーを見るということ自体が、本人の精神状態に悪影響を与え、結果として狂死してしまう、などはいかにも有り得そうだ。
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2004年07月10日

アヴァロン島

もうすぐ映画「キング・アーサー」が公開されるので…。

【アヴァロン島】
◆出自◆
アーサー王伝説、妖精伝説
◆性格◆
冥界、妖精の国
◆景観◆
湖と岩に囲まれた美しい島で、強風が吹くことも、雨や雪や雹が降ることも無い。
果樹の植えられた芝生、樹木の茂った窪地、奥行きの深い牧草地等が島を被い、アリマタヤのヨセフによって建てられた小さな教会がある。
◆解説◆
アヴァロンという名はケルト語でりんごを意味する。妖精(アーサーの異父姉モルガン・ル・フェイ)が治める国とも言われる。
『アーサー王の死』の中で、王は頭部に致命傷を負った際「私はこれからアヴァロンの島へ行き、この深い傷をなおさねばならぬのだ」と語り、舟に乗った。
物語の中でアーサー王の死が直接に語られない為、王を「過ぎし日の王にしてまた来るべき日の王」として、その帰還を信じる人々もいた。
アヴァロン島探しも行われ、候補地も幾つかあったようだが、1191年にイギリス南西部にあるグラストンベリーの修道院からアーサー王の墓が見つかったと公表され、教会による御墨付きを得る。アーサー王の名が刻まれた鉛の十字架や、傷痕のある頭蓋骨などが見つかり、小さな町は一躍有名になった。
グラストンベリーの東南には「ザ・トール」(小山の意)と呼ばれる標高160mほどの丘もあり、かつては湿地帯の中の島だったとも言われる。ザ・トールはもともと、先史時代に作られた宗教施設だとか、内部が空洞でドルイドの神殿があったとか、いろいろいわくのある場所であったようだ。
ただ、このグラストンベリーの「発見」は政治的・経済的背景を持つでっちあげだとする向きもあり、真偽は定かでは無い。が、それだけ人々の間でアーサー王という存在が大きかったという証明にはなるだろう。
アーサー王の憩うアヴァロン島とは、伝説を信じる人々にとって夢の島であることは間違い無い。
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2004年07月09日

パック

シェイクスピアの「真夏の夜の夢」を読んだので、今日はパックについて。

【パック】
◆出自◆
イギリス民間伝承
◆性格◆
陽気、悪戯好き
◆容姿◆
背丈は数インチ。上半身が人間、下半身が山羊で頭に角。
または、人間の姿をした小柄で毛深い生き物。
◆解説◆
「ホブゴブリン」や「ロビン・グッドフェロー」とも呼ばれる悪戯好きの妖精。
農場や民家で、人間の手伝いをする。かと思えば、バターを作るミルクの上澄みをすくったり、ビールの酵母を泡立たなくさせたりの悪戯をする。変身も得意。
また、四十分で地球を一周できる程素早い(つまり時速は約6万キロ!!)。
シェイクスピア『真夏の夜の夢』では、妖精王オベロンの従者として狂言まわしの役を果たす。
◆補足◆
「ホブゴブリン」は、イギリス妖精の中でも人間の手助けをしたり、(それほど)害のない悪戯をする程度の妖精達につけられた総称。人家やその周辺に出没する。
これに対し「ロビン・グッドフェロー」は個体名。妖精王オベロンと人間の女性の間に生まれた半妖精で、最初人間の世界で暮らしていたが、余りにも悪戯なのでオベロンが妖精界へ引き取った。
posted by わーむうっど at 21:48| Comment(0) | 妖精 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年07月08日

飯綱

今日は何となく飯綱について。

【飯綱(イヅナ)】
◆出自◆
日本、北海道、東北〜関東地方
◆性格◆
人に憑く、使役獣
◆容姿◆
体長9〜12cm。イタチに似た小動物。四脚は胴体から互い違いに出ている。手の指は5本で美しい爪がある。耳は人に似る。柔らかな体毛と帚の様な尾を持つ。
◆解説◆
飯綱使いと呼ばれる呪術師に使われ、人に憑く使役獣。飯綱に憑かれた者は過食症になったり、あらぬことを口走ったりするようになるが、その者を川に沈めると飯綱が苦しがって離れるという。
管狐(クダギツネ)とも呼ばれることがあるが、『霊獣雑記』に「近世飯綱の法といいて狐を使う者あり。伝へて聞に、至って小なる狐なりと云へり。いわゆるくだもちおさき使いのたぐひならん」とあるので、もともとは別のものだったのだろう。
飯綱の本尊は「飯綱権現(飯綱大明神)」である。伝説では嘉祥三年(850年)、学問行者が飯綱山(信州北部にある修験道屈指の名山、保食神(ウケモチノカミ)の降臨地とも言われる)で修行中、飯綱権現から飯綱の法を授かったのが始まりという。
◆補足◆
本尊の飯綱権現は、稲荷大明神と並び稲作の守護神とされる。上記飯綱山の他、関東の高尾山にある薬王院にも祭られている。
posted by わーむうっど at 20:56| Comment(0) | 妖怪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年07月07日

ノルニル

昨日、棚機津女を書いていてふと思い出したのが北欧神話のノルニル。「水辺」で「機を織る」≠「糸を紡ぐ」と、キーワードに類似性が見出せるのだが。

【ノルニル(単数形はノルン)】
◆出自◆
北欧神話、『古エッダ』『新エッダ』
◆性格◆
人と神の運命を司る
◆解説◆
ノルニルは「ウルド」「ヴェルダンディー」「スクルド」の三姉妹からなる運命の女神である。
長女ウルドの名は「運命」「編む者」の意で、過去を司る。古代高地ドイツ語ではWurdと表記され、これは大地を表す。もともと運命を司っていたのはこのウルド一人で、後から二人の妹が付け加えられたとも言われる。
次女ヴェルダンディーの名は「必然」「紡ぐ者」の意。現在を司り、三人の中で最も母性的な性格をしている。
三女スクルドの名は「存在」「債務・義務」の意。未来を司る。死や滅びを司る神でも有り、英雄の魂をヴァルハラへ導くヴァルキューレの一人でもある。
ノルニルは世界樹「ユグドラシル」の三本の根のうち、アースガルドに伸びた一本の根元に湧く「ウルドの泉」で、ユグドラシルの世話をしながら運命を定め、記録している。
北欧神話の主神たるオーディンですら、彼女達の語る予言には逆らえない。
posted by わーむうっど at 22:22| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年07月06日

棚機津女

明日は七夕。しかし、実は七夕というのは江戸時代まで七月六日から七日にかけての夜だったということは余り知られて無い。
そんなわけで、今日は七夕の行事と、七夕神「棚機津女(タナバタツメ)」について概略を御紹介する。

【棚機津女(別名:織女、機織姫、織姫)】
◆出自◆
日本古来の客神を迎える行事
◆性格◆
技芸・豊作の守護神
◆解説◆
七夕の成り立ちを乱暴を承知でごく簡単に言えば「日本古来の、水場で客神を迎える処女+中国の牽牛・織女伝説+中国の乞巧奠(きっこうてん)の行事」となる。
中国の伝説中の織女星(琴座のベガ)と習合しているが、棚機津女は盆に入る前、祖霊や客神(まれびと)を迎えるため水場で機を織りつつ待つ処女が神格化したもので、我が国古来の存在。水場なのは穢れを払う意味が有り、機織りをするのは織り上がった布を祖先に捧げる儀礼があったからだと言われる。
「牽牛・織女」が天の川を挟んで相対するという伝説は中国のもので、『詩経』にも見られる。それが恋人同士とされるようになったのは後漢時代(二世紀)、一年に一度出会うとされたのは六朝時代(三世紀)からという。
一方、中国には旧暦七月七日に女子が手先が器用になるよう願いをかける「乞巧奠」という行事もあった。
「牽牛・織女」伝説と「乞巧奠」行事が奈良時代に日本に伝わり、乞巧奠の名称で宮中にて盛んに行われるようになる。
今の形で庶民の間に浸透したのは江戸時代に入ってから。
◆補足◆
御利益は機織り、裁縫、書道をはじめ、習い事全般の上達。また、五穀豊穣、疫病除け、虫除けなど。
それから七夕に顔を水で七回洗うと美しくなるという伝承も有る。試してみてはいかがだろうか。
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2004年07月05日

ホムンクルス

昨日に引き続き、錬金術関連の話題で。

【ホムンクルス】
◆出典◆
パラケルスス『自然魔術』
◆性格◆
知的、技術の申し子
◆容姿◆
小さい人間。美しいもの、醜いもの、両性具有のものもいる。
◆解説◆
錬金術によって生み出された人工生命。名前はラテン語で「小さい人」の意。生まれながらにして秘められた知識に通じており、長ずるにつれその技術を身につける。
製作方法は下記の通り。
1、人の精液を、馬の内臓などの腐敗しやすいものと一緒に蒸留瓶に入れ、40日ほど放置する。
2、瓶の中に、透明な人間の姿をした塊が動き始めたら、毎日人間の血液を与えて40週間養う。その際、瓶の内部の温度が一定になるように保つ。
瓶の中にある内は精神体に近い存在のようで、瓶から出すと生きられないともされる(瓶に代わる肉体を手に入れれば別)。
posted by わーむうっど at 20:38| Comment(0) | 人工生命 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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