2004年07月27日

マンドラゴラ

有名魔法植物。ハリポタにもマンドレイクの名で登場したので、御存知の方も多いのでは。

【マンドラゴラ(別名:マンドレイク、アルラウネ、曼陀羅華)】
◆出自◆
ヨーロッパ民間伝承
◆性質◆
基本的には薬草。呪いの形代や金銀増殖の呪術に使用されることも。万能の触媒として魔術師に珍重される。
◆形状◆
オカルト関連書物では、根が人の形をした植物として描かれる。性別の違いがある。
また、同名の実在植物もある。イタリア〜ギリシャ、小アジアに分布するナス科の多年草で、葉は卵型、花はナスのそれに似る。果実は赤色でトマトに似ており、根は中央で裂けている。強い毒性があるが、適量を守れば麻酔・鎮静剤になる。
◆解説◆
マンドラゴラの候補とされる薬草は幾つか存在し、実際に薬や毒として利用されてきた。だが、魔術書などで見られるそれは、魔術的要素が付与されて一人歩きをしている。
マンドラゴラはペルシャ語で「愛の野草」を意味し、その名の通り媚薬としてヨーロッパに紹介された。
『旧約聖書』創世記(第30章14〜16節)ではレアが、このマンドラゴラの果実を夫ヤコブに食べさせて思いを遂げている。
ドイツでは「アルラウネ」とも呼ばれる。「秘密に通じている」の意で、人間のように歩き回ることができ、持ち主に未来を教え、あらゆる質問に答えることが可能とされた。
きちんと世話をすれば、富を増やしてもくれる。人型をしていることから一種の精霊のように考えられてもいたようだ。
マンドラゴラの育成には特殊な条件が必要で、死刑台の傍に生え、死刑囚の排泄物や無実の死刑囚の涙で育つとされる。
地面から引き抜く際には金切り声をあげる。これを聞いたものは即死してしまう。その為、マンドラゴラの採取には犬の首とマンドラゴラを縄で結び、犬を走らせて引き抜くという方法が考え出された。
◆補足◆
「栄光の手」という魔術がある。死刑囚の手を切り取って乾燥させたもので、その手に蝋燭を持たせるか、指に直接火を灯すと周りにいるものを深い眠りに落とすことができるという魔術だ。実はこの「栄光の手」は、マンドラゴラのフランス語形「マンドラゴール」をイギリス人が「マン・ド・グロワール(Main de Gloire 栄光の手)」と勘違いして誤訳(Hand of Glory 栄光の手)したことが始まりだという。
posted by わーむうっど at 22:18| Comment(0) | 魔導具 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年07月24日

ウロボロス

昔、こればかりノートの端に落書きしていたことが…。

【ウロボロス】
◆出自◆
ヨーロッパ
◆性格◆
無限。一にして全。
◆容姿◆
自分の尾を噛む蛇。
◆解説◆
古代ギリシャで、大地を取り巻く大洋の象徴として地図に描かれた。無限の象徴でも有り、万物の中に存在し、それらを結び付けるもの。
錬金術では二尾が互いに尾を噛み合う図が多く用いられる。それらは液体の加熱・気化・冷却・再液化という、完結しては新たにくり返す純化のプロセスを象徴する。
◆補足◆
裏づけは取れなかったのだが、北欧神話の世界蛇ヨルムンガンド(ミドガルズオルム)との関連が考えられる。ヨルムンガンドも世界を取り巻く程大きく、また、ラグナロク(神々の黄昏、最終戦争)の時まで自分の尾を口にくわえて海の底に身を横たえている。
posted by わーむうっど at 19:24| Comment(0) | 幻獣 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年07月23日

ルンペルシュティルツヒェン

こうさぎに口走ってもらいたいので、今日はルンペルシュティルツヒェンについて。

【ルンペルシュティルツヒェン】
◆出典◆
『グリム童話』
◆性格◆
そこそこ親切、やや間抜け。ギブアンドテイクが信条。
◆容姿◆
小人
◆解説◆
グリム童話55番(エーレンベルク稿では42番)に出てくる小人。
粉引きの娘が王様から「部屋いっぱいの藁屑を一晩で黄金に変えろ」という無理難題を押し付けられて泣いているところに現れ、1度目は首飾りと引き換えに、2度目は腕輪と引き換えに、3度目は生まれてくる最初の子供と引き換えに、という条件で藁屑を黄金に変える魔法をかけた。
その後娘は王様と結婚し、最初の子供が生まれる。小人は約束通り報酬を求めて現れるが、妃が必死に懇願するのでやむなく「3日後に現れる時までに、おいらの名前を当てられたら子供は置いて行く」という約束をして去る。
1日目も2日目も妃は小人の名前を当てることが出来なかったが、3日目、猟から戻った王様から聞いた話により小人の名前を知る。
「ルンペルシュティルツヒェン!」と、名前を言い当てられた小人は怒り狂って走り去る(二版以降のグリム童話では、小人は自分で自分の体をまっぷたつに引き裂いてしまう)。
◆補足◆
「名前を知ることはその対象を支配することである」
こういった信仰は普遍的に存在する。ヨーロッパでは妖精や悪魔等は特に、名前を知ることで支配できると考えられていた。
童話や昔話にはこの様に、その社会での暗黙の了解が反映されていることが多々有り、面白い。
posted by わーむうっど at 11:34| Comment(3) | 妖精 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年07月22日

バフォメット

政治的な理由で有名になった悪魔。

【バフォメット】
◆出自◆
中世ヨーロッパ
◆性格◆
魔女たちの崇拝を集める悪魔。「サバトの山羊」
◆容姿◆
頭と脚が山羊、人間の女性の体、背中に鳥の翼がある。額に五芒星。(尚、このイメージは19世紀フランスの魔術師エリファス・レヴィが描いた「メンデスのバフォメット」によるものである)
◆解説◆
良く知られている山羊頭の悪魔、それがこのバフォメットである。ただし、出自に関してはかなりあやふやだ。
名前は「マホメット」から転化したという説が有力。キリスト教の敵であるかららしい。
14世紀初頭のフランスに、バフォメットを崇拝したとされた組織があった。それが「聖堂騎士団」だ。異端審問での「バフォメットを崇拝していた」という告白により、組織は異端の罪でフィリップ4世によって潰滅させられた。
だが、これは聖堂騎士団の潤沢な資金と中央集権化を狙った国王側の陰謀だったと言われる。
審問の告白自体も、拷問の上での証言で信ぴょう性に乏しいし、関係者はことごとく処刑されてしまい、真偽は闇の中に葬られている。死人に口無し、というやつだろう。
欲に目がくらんだ人間はこのように悪魔をも道具にしてしまう。バフォメットのせせら笑いが聞こえてきそうだ。
posted by わーむうっど at 20:58| Comment(0) | 悪魔 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年07月21日

アンクー

交代制の死神というところが、風変わり。

【アンクー】
◆出自◆
フランス、ブルターニュ地方民間伝承
◆性格◆
死神
◆容姿◆
長い白髪に、背が高く痩せこけた姿。
或いは、ぐるぐると回転する頭を持ち、マントを羽織った骸骨。
右手に草刈り鎌、左手にスコップを持つ。
◆解説◆
各教区ごとに存在する死神で、その教区で年の一番初め(或いは前年の一番最後)に死んだ者がアンクーとなる。つまり、任期は1年。
六頭の黒馬が引く馬車に乗り、二人の幽霊を連れて死期の迫った者を迎えに来る。
お供のうち、一人が家の門を開け、一人が死者を馬車に詰め込む。その際、アンクーがドアをノックしたり、泣き叫ぶ声が、家人に聞こえる時もあるという。
posted by わーむうっど at 20:27| Comment(0) | 死霊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年07月20日

スレイプニル

今日は北欧神話から、俊足なこの馬に登場いただく。

【スレイプニル】
◆出自◆
北欧神話
◆性格◆
オーディンの愛馬。世界で最も早く、あらゆるところへ行ける。
◆容姿◆
八本足の灰色の馬
◆解説◆
名前の意味は「滑るように走る者」。
牡馬スヴァディルファリとロキの間に生まれ、ロキからオーディンに贈られた。
この結果に至るエピソードでの神々の仕打ちはかなり酷い。以下、簡単にその物語を記す。

神々は争いで崩れた城壁を直す為に一人の建築師を雇うが、その建築師の請求してきた代価というのが女神フレイヤと太陽と月。そこでロキの入れ知恵で、オーディンは城壁を六ヶ月で完成させることが出来れば、と条件をつける。ただで半分まで城壁を作らせようという魂胆で、不可能だと分かった上での提示だった。
しかし、建築師はフレイヤを諦めることが出来ず、馬を手伝わせても良ければ、と申し出る。オーディンは突っぱねるが、ロキがそのくらいのことではたいした影響は無いだろうと諭し、契約が成立する。
ところが、建築師と馬は物凄いスピードで城壁を積み上げてゆき、約束の日までに完成してしまいそうになる。責任を問われたロキは牝馬に変身して建築師の馬を誘惑し、城壁の完成をさまたげた。勿論、建築師は騙されたことに怒って抗議するが、雷神トールのハンマー、ミョルニルで頭を叩き潰され、あえなく殺害されてしまう。

結局殺してしまうなら、何もロキが妨害工作をしなくても良かったような気もするが、それを言ったら駿馬スレイプニルが生まれてこなかったわけで。
もしかしたらスレイプニルの誕生を説明するために、この神話は後付けで作られたのでは無いかと、そんな風にも思えてしまう。
posted by わーむうっど at 21:45| Comment(0) | 幻獣 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年07月19日

テュルフィング

今日は魔剣の代表格とも言える、この剣のことについて。

【テュルフィング】
◆出典◆
北欧、『ヘルヴォールとヘイドレク王のサガ』
◆性質◆
鞘から抜かれる度、必ず一人の男の命を奪う。また、三回邪悪な望みを叶えるが、その後、持ち主に死をもたらす。
◆形状◆
両刃の大剣。柄は黄金。刃は鉄製だが、決して錆びず、鞘から抜くと輝く。
◆解説◆
オーディンの末裔のスヴァルフルラーメ王が二人の黒小人(ドヴェルグ)、ドヴァリンとドゥリンに鍛えさせた剣。
王はこの剣によって幾多の戦いで勝利を得るが、アルングリムという男との一騎討ちの際、剣を奪われ、結局はこの剣によって命を失う。
その後、剣はアルングリムの長男アンガンチュールが引き継ぎ、戦で倒れた彼と共に一旦墓に葬られる。
アンガンチュールの娘、男装の女剣士ヘルヴォールは父の墓からこれを手に入れる。
ヘルヴォールはただ一人、魔剣の呪いから逃れ、故郷に帰って結婚し幸せに暮らすことが出来た。
剣は彼女の二人の息子たちが引き継ぐ。しかし、弟のヘイドレクは剣に魅入られ兄を殺し、敵を切り、敵がいなくなれば味方を切り、周りの者をすべて殺して王になる。
ヘイドレク王はオーディンによって殺されることになるが、その後も魔剣は持ち主を転々としつつ、死と呪をふりまいた。
◆補足◆
マイケル・ムアコックの小説『エルリックサーガ』に出てくる魔剣「ストームブリンガー」のモデルになった剣。
posted by わーむうっど at 23:35| Comment(0) | 魔導具 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年07月18日

ヤタガラス

サッカー日本代表のシンボルマークになっていることで有名かもしれない。

【八咫烏(ヤタガラス)】
◆出典◆
『記紀神話』
◆性格◆
先導神(ミサキガミ)。太陽に関連。
◆容姿◆
三本足の大烏。
◆解説◆
『古事記』では高木大神(高御産巣日神)、『日本書紀』では天照大御神の御使いとされる。
神武天皇東征の折、熊野の荒ぶる神々に苦戦する天皇を導くべく遣わされた。また、大和国宇陀の兄宇迦斯(エウカシ)・弟宇迦斯(オトウカシ)兄弟に帰順を勧める使いともなる。
八咫烏の「咫(アタ)」は、上代の長さの単位で約18cm。
八咫は18×8=144cmということになる。ただし、八咫は「長い、大きい」という意味もあるので、八咫烏の正確な大きさとは言えないかも知れない。
賀茂建角身命(カモタケツヌミノミコト)の化身ともされる。
◆補足◆
月に兎が住むといわれるように、太陽には烏が住むという考えが古代から中国・朝鮮など、アジアの国々にあった。例えば「射日神話」では増え過ぎた太陽を射落とすと三本足の烏になったという。これが日本に伝わって八咫烏の元になったようだ。
法隆寺に伝来する国宝「玉虫厨子」にも、太陽の中の三本足の烏が描かれている。
posted by わーむうっど at 18:29| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年07月16日

フンババ

『ギルガメッシュ叙事詩』を読んだので、ボルヘスの『幻獣事典』にも載っているフンババについて書く。

【フンババ】
◆出典◆
『ギルガメッシュ叙事詩』
◆性格◆
神の森の守護者
◆容姿◆
顔の真ん中に目が一つ。恐ろしい形相。外出をする時は七つの衣でしっかりと身支度をする。
(ゲオルグ・ブルックハルトによれば)前足が獅子のそれで、角のように固い鱗で全身が被われている。足には禿鷹の爪、頭には野牛の角。尾と男根の先端が蛇の頭になっている。
◆解説◆
世界最古の叙事詩とされる『ギルガメッシュ叙事詩』で、神の森にある杉の木を守っている幻獣。
嵐のような唸り声を持ち、口からは火と疫病をまき散らす。
視線は石化の力を持っていたが、ギルガメッシュに助力を請われた太陽神シャマシュが、焼けるような風でフンババの目を塞いだため、ギルガメッシュとエンキドゥに首を落とされた。
posted by わーむうっど at 22:05| Comment(0) | 幻獣 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年07月15日

蜃気楼を、一度見てみたい。

【蜃(シン)】
◆出自◆
中国
◆容姿◆
巨大な蛤(『今昔百鬼拾遺』)。
または頭部から背中にかけて鶏冠状の赤い鰭がある大きな蛇(『本草綱目』)。
◆解説◆
中国には雉が海中に潜ると大蛤(蜃)になるという故事があり、同じく雉と蛇の合いの子である蛟(ミズチ)とも関わりを持つとされる。
蜃は気を吐いて楼閣をつくり出す。蜃気楼が自然現象だと分からなかった頃は、これが蜃気楼の正体だと考えられた。よく海上に見られたので、蜃気楼を海市(カイシ)とも呼ぶ。
◆補足◆
自然現象としての蜃気楼は、空気の密度(温度)差で光が屈折するために起きる。
posted by わーむうっど at 22:07| Comment(0) | 妖怪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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