2004年08月13日

ベルゼブブ

いきなり大物登場で…。バフォメットと同じく、もともとは言葉遊びから派生した悪魔。

【ベルゼブブ(別名:ベルゼブル、ベルゼビュート)】
◆出自◆
『聖書』。「バアル・ゼブル」の言い換え。
◆性格◆
その名の通り蠅の王で、疫病をもたらす。
ミルトンの『失楽園』では、氷の様に冷静な参謀役。
◆容姿◆
コラン・ド・プランシー著『地獄の辞典』でM・L・ブルトンが描いた、羽根に髑髏の絵のついた巨大な蠅の姿が有名。
◆解説◆
元来フェニキアの神「バアル・ゼブル」(天の館の主)であったものが、ソロモン王との混同を嫌ったヘブライ人の手によって「バアル・ゼブブ」(蠅の王)に置き換えられたのが始まり。新約聖書では悪霊の王とされる。
死と疫病のあるじであると同時に、作物を荒らす蠅の害から人間を救う力があるとも言われる。
ミルトンの『失楽園』でのベルゼブブはサタンに次ぐ反逆天使のナンバー2で、その側近にして親友。王者の威厳と賢者の風格を兼ね備えた参謀として書かれている。
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2004年08月11日

ヒュドラ

引き続き、多頭型ドラゴンで。

【ヒュドラ】
◆出自◆
ギリシャ神話
◆性質◆
不死身に近い生命力を持つが、知能は動物並み。水場を好み、肉食。夜行性。猛毒を持つ。
◆容姿◆
9本の首を持つ巨大な水蛇、或いは竜。肌は毒性の粘液に被われている。
◆解説◆
名前の意味はギリシャ語の「水蛇」。テュフォーン(台風の語源になった巨人)とエキドナ(半人半蛇の怪物)の子。
ヘラクレスに与えられた12の功業の2番目がヒュドラ退治だ。
ヒュドラはアルゴス近郊のレルネー沼地にあるアミュモネーという泉に棲む。その毒で水場を汚染し、夜に住処を這い出しては、通りかかる旅人や家畜を襲って喰らうので、アルゴスの住民達は大変頭を悩ませていた。
ヒュドラ退治に向かったヘラクレスは、猛毒こそ身に纏う不死身のライオンの毛皮で防ぐことが出来たが、切り落とす度に2本に増える首には手を焼いた。さらに女神ヘラに妨害を命じられた巨大蟹カルキノスがヘラクレスの踵を狙って鋏を振り立ててくる。
ヘラクレスは大蟹を踏みつぶし、ヒュドラの再生する首は切断する傍から切り口を従者のイオラオスに焼かせることでこの試練を乗り切った。
◆補足◆
ヒュドラの、切り落としても再生する首は干拓することが出来ない湿地の象徴だと言われる。
星座では海蛇座に当たる。春に南の空に現れる全天で最も大きな星座(角度にして100度以上の幅)である。
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2004年08月09日

ヤマタノオロチ

今日は日本を代表する龍、八岐大蛇に登場していただこう。

【八岐大蛇】
◆出自◆
日本、記紀神話
◆性格◆
蛇体の水霊にして荒ぶる山の霊。生け贄を求める。酒好き。
◆容姿◆
八つの頭と八つの尾を持ち、八つの谷と八つの山を超える程の大きな体。背中に苔、檜、杉、松、柏などが繁っている。腹はにじみ出る血に染まり、16ある目は赤かがち(ホオズキ)のように赤く輝く。行くところには常に黒い雨雲がついてまわる。
◆解説◆
今更解説の必要は無いだろうというくらい有名な龍。

高天原を追放された須佐之男命は、出雲国肥川の上流、鳥髪(現在の島根県出雲地方の斐伊川上流、船通山)に降り立つ。川を見ていると一本の箸が流れて来たので、人を求めて上流へ向かう。
そこでは大山津見神(オオヤマツミノカミ)の子で足名椎(アシナヅチ)・手名椎(テナヅチ)という老夫婦とその娘、櫛名田姫(クシナダヒメ)が泣いていた。訳を訊ねると高志(北陸地方)から八岐大蛇がやってきて、八人いた娘を毎年一人ずつ食べてしまい、最後の一人である櫛名田姫も差し出さねばならないという。須佐之男命はそこで、姫を妻にもらえるなら八岐大蛇を退治すると申し出る。身分を明かすと夫婦は喜んでこれを受け入れた。
須佐之男命は櫛名田姫を湯津爪櫛に変身させ魔よけとして髪に差し、夫婦に八塩折の酒(何度も醸した強い酒)を用意させた。これを八つの酒だるに満たして待っていると、八岐大蛇が現れ、あっという間に飲み干して寝てしまう。須佐之男命は腰に佩いていた十拳剣(とつかのつるぎ=刃渡り80cm〜1m程の長剣)を抜き放つとその体を八つ裂きにする。そこから流れる血は川を赤く染めた。最後に尾を切ろうとすると何やら固いものに当たり、長剣の刃が欠けてしまう。そこから出てきたのが天叢雲剣(のちの草薙の剣)である。

八岐大蛇とは何ものなのか。それを解く手がかりになるのが尾から現れた天叢雲剣である。何故、龍の尾から剣が出るのか。
一説に、八岐大蛇とは当時鉄の産地を押さえていた異民族であるという。須佐之男命が降り立った鳥髪は古来、砂鉄の産地で、鉄器を製造する鍛冶部(かぬちべ=鍛冶技術者集団)がいたところでもある。これら技術者が鍛えた優れた剣、それが天叢雲剣だという。八岐大蛇の血で赤く染まったという肥川は、もともと砂鉄を含んだ赤い色をしていたようだし、大蛇の赤い目は製鉄の炎を差しているといわれる。このことから、須佐之男命の八岐大蛇退治は、大和民族が鉄を持った異民族を征服した史実が下敷きにあったとも考えられている。
他にも櫛名田姫を奇稲田(=美しい水田)姫とも書くことから、水田を穿つ大水が八岐大蛇で、治水をした英雄が須佐之男命だとも解釈される。
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2004年08月07日

スフィンクス

我が家のペット(うさぎ)を見ているといつも思い出すのはこれ。

【スフィンクス】
◆出自◆
エジプト
◆性格◆
王や王権の象徴にして守護者。
◆容姿◆
寝そべったライオンで顔が人間。エジプトでは主に男性だが、ギリシャでは女性。ギリシャ版はさらに背中に翼が有るとされる。
人間の顔をしたスフィンクスを特にアンドロスフィンクスとも呼ぶ。
まれに隼の頭をしたヒエコラスフィンクス、雄羊の頭をしたクリオスフィンクスもいる。
◆解説◆
スフィンクス自身はエジプト起源だが、スフィンクスという名はギリシャ起源である。語源はギリシャ語の「締め付ける」「首を絞める」という意味の「Sphink」。ではエジプトでの名前はというと一般名詞としては知られてない。有名なギザのスフィンクスは「生ける像(シェセプ・アンフ)」と呼ばれていたようだ。
ソフォクレスの悲劇「オイディプス王」でのスフィンクスは、テーバイの郊外に住み着いた怪物で、通りがかる者に謎掛けをし答えられぬととって食べていた。そこでテーバイではこのスフィンクスを退治出来た者を王にするというおふれをだし、オイディプスが謎を解いて王となる。
エジプトで王権の象徴であったスフィンクスが、海を超えたギリシャでも王権を象徴(怪物をうち負かして王になる)しているようで、面白い。
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2004年08月05日

フレイヤ

女神が続きますが。

【フレイヤ】
◆出典◆
北欧神話
◆性格◆
美と愛と豊穣の女神。性的に奔放な性格。宝飾品に目が無い。魔女としての側面も持つ。
◆容姿◆
とても美しい。黄金の首飾りブリーシンガメンを身につけ、二匹の猫に引かせた車を駆る。
◆解説◆
北欧神話に出てくるアース神族とヴァン神族の内、後者に属する女神。アース神族がヴァン神族の女神グルヴェイグを殺害したために両神族は激しく争っていたが、やがて戦いに疲れた神々は和平を望み、アース神族からは足長のヘーニルと賢いミーミルを、ヴァン神族からはニヨルドとその子フレイ、フレイの妹であるフレイヤ、そして賢者クヴァシルが人質として相手方に差し出された。
美しいフレイヤはしばしば巨人族や小人族から所望され、それが問題を引き起こす。実はオードという夫も居たのだが、フレイヤの前を去っており、時折フレイヤは彼を思って涙を流す。
フレイヤはヴァン神族が得意とするセイズ魔術(巫術)の使い手で、アース神族の主神オーディンにセイズ魔術の極意を授けたとされる。
◆補足◆
アース神族は遊牧・狩猟民族的な気質を持つ神々、ヴァン神族は農耕民族的な気質を持つ神々で、異なる神々を信奉する二つの民族の間に争いが有り、やがて和解・融和していった経緯が神話となったものと思われる。
セイズ魔術は守護霊や祖霊を自らの身体に憑依させてトランス状態となり、予言を行う魔術。アース神族にはガンド魔術という魔術が伝わっており、こちらは脱魂(幽体離脱)魔術とされる。
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2004年08月02日

アテナ

オリンピック開催が迫る今日この頃。アテネの守護神アテナについて書いてみる。

【アテナ(別名:アテネ、パラス・アテナ)】
◆出自◆
ギリシャ神話
◆性格◆
戦いと知恵と技芸の女神。人間には好意的。
◆容姿◆
甲冑を身に纏い、槍と盾を手にした美しい女神。尚、盾にはペルセウスから献上されたメデューサの首が取り付けられている。シンボルは梟。
◆解説◆
オリンポス十二神の一人で、ゼウスの娘。同じく戦いの神であるアレスとは仲が悪い。というのは、アレスが戦を好み、攻撃的な性格であるのに対して、アテナは戦を好まず、その戦いは防御的な戦いであるからだという。
誕生は風変わり。子に王位を簒奪されることを恐れたゼウスが、身重の母親メティスともどもアテナを飲み込んでしまったので、アテナはゼウスの頭に宿る。月が満ちるとゼウスは頭痛に苦しみ、ヘパイストス(一説にプロメテウス)に命じて斧で頭を叩き割らせた。するとアテナはゼウスの頭から武装した姿で誕生した。
都市の守護を巡り、ポセイドンとどちらがより人間の役に立つものを贈ることができるかを勝負したこともある。ポセイドンは馬を、アテナはオリーブの木を贈り、人々はオリーブを選んだ。こうしてその都市はアテナが守護することになり、都市はその名をアテナイと名乗るようになった。
パラス・アテナという別名は、アテナが槍を持っていることから「パラス=槍をかざす者」と名づけられたという説がある。
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2004年08月01日

桂男

今宵は満月。この廃園では、満月の夜は月に関する何かを紹介して行く予定です。というわけで、今日は桂男について。

【桂男】
◆出自◆
インド→中国→日本
◆性格◆
月の桂の木を伐る。月を見つめる者の寿命を縮ませる。
◆解説◆
桂男は月の兎同様、インドの説話に登場する。それが中国を経て日本に伝わったと見られている。
中国の伝承によると、月には月宮殿という立派な宮殿が有り、高さ約1、500mもの桂の木が生えているとされる。この桂の木を伐っているのが桂男である。
日本に伝わった伝承では、桂男は月を長時間見つめ続ける者を手を出して招く。招かれたものは寿命を縮ませてしまう。
◆補足◆
月を見ることをタブーとする民族は多い。イヌイットの言い伝えでは、娘が月を見ると妊娠するから見てはいけないとする。アイスランドでも、妊婦が月光を浴びて寝ると子供が精神障害になると言われる。
日本でも、有名な『竹取物語』において、月を見て泣くかぐや姫は「月を見るのは不吉だからやめなさい」とたしなめられており、月を見るタブーが存在したことが伺える。
「(前略)かぐや姫、月のおもしろうゐでたるを見て、つねよりも、物おもひたるさまなり。ある人の、「月のかほ見ることはいむこと」と制しけれども、ともすれば、ひとりまほにも、月を見てはいみじく泣き給ふ。」(『竹取物語』より)
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2004年07月30日

モト

昨日の続きで、モトについて。

【モト】
◆出自◆
ウガリット神話
◆性格◆
死と不毛の神
◆解説◆
雨季の後には乾季が来る。モトは乾季を象徴する神である。このため、雨季を司る豊穣神バアルは神話の中で、モトに破れ去る。
その部分の物語を簡単に記す。

ヤムに打ち勝ち、支配者となったバアルは宮殿を建てる。その心に去来する心配事は彼の敵、死と不毛の神モトのことだった。バアルはモトの住処である地下の死の国に使者を遣わし、その統治する土地から離れぬ様命じる。これに激怒したモトは逆にバアルを自分の国へと招待する。バアルはしぶしぶながら死の国に赴くが、そこで死の国の食物を口にしてしまい、死の虜となる。
バアルが失われると地上には干ばつが起こり、草木は成長せず、大地は衰え始めた。
大神エルは、バアルは死んだと叫び、喪服に身を包む。しかし、兄の死を諦めきれない戦の女神アナトは、太陽の女神の力を借り、死の国からバアルのなきがらを奪還。その後、モトに戦いを挑み、彼を剣で引き裂き、肉を火にくべ、臼でひき、大地にまき散らした。
バアルはその後、死より復活する。
しかしモトもまた七年後に再び復活し、バアルに戦いを挑むことになる。

◆補足◆
この物語において興味深いもう一つの点は「死者の国の食べ物を口にしたものは死の虜となる」という考えだろう。
ギリシャ神話のペルセフォネや記紀神話の伊邪那美神にも共通する認識である。
また、処女神アナトはインドのカーリーの様に恐ろしい戦女神なのだが、太陽の力を借りて豊穣を取り戻すところなど、女神の生命力を感じさせる役割をも果たしている。魅力的な女神であると思う。
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2004年07月29日

ヤム

バアルを書く前にヤムを紹介するハズし具合が、ここ風味かと…。

【ヤム】
◆出自◆
ウガリット神話
◆性格◆
海神(河川の神とも)。強欲で乱暴者。
◆容姿◆

◆解説◆
まずは簡単に、ヤムの出てくる神話の概説をば。

時の初めに地上の支配者を決めるに際し、雨と大気の神バアルと海と河川の神ヤムが名乗りを上げた。結局、大神エルによって王に選ばれたのはヤム。
しかしヤムは王になるやいなや暴虐の限りを尽くし、法外な貢ぎ物を要求しては神々を困らせた。誰もがヤムの力を恐れて戦うことを尻込む中、女神アスタルテが懐柔を試みようと立候補する。アスタルテの美しさに心を奪われたヤムは、彼女を所望し、その話を聞いたバアルはヤムとの戦いを決意する。
力で勝るヤムと戦う為、アスタルテの助言を受けてバアルはコシャル・ハシスという技術神に、遠くから投げ付け、的を外れた場合は自動的に手許に戻る二本の魔法の棍棒(雷光の象徴であるとされる)「駆逐者」と「反撥者」を作らせた。
駆逐者は的を外れたが、反撥者は見事ヤムの体を打ち据え、これを打ち倒すことに成功する。

天の水の神と地の水の神、どちらが地上の覇権を得るかという物語になっているが、シリア・パレスチナにおける季節の移ろいを説明している自然神話でもある。
今回はその前半部分で、雨の力が最大になり、河川をねじ曲げる季節までの部分なのだが、その後、バアルの前には新たな敵、死と渇きの神モトが立ちふさがることになる。
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2004年07月28日

シンテオトル

トウモロコシの美味しい季節になった。アステカの神々に思いを馳せてみる。

【シンテオトル(センテオトル)】
◆出自◆
アステカ神話
◆性格◆
トウモロコシの神
◆容姿◆
トウモロコシの穂軸の頭飾りをつけた若々しい姿
◆解説◆
大地の女神トラソルテオトル(一説にチコメコアトル)の息子で、ケツァルコアトルの化身の一つ。雨の神トラロックの庇護を受けている。
トウモロコシを主食としていた古代アステカでは重要な神で、広く信仰されていた。四月になると人々は、実り豊かな季節を願うため、葦にたらした血を家々の入り口においてこの神に捧げた。
また、ヨワルテウクティン(9人の夜の神々)の一人。マヤではユム・カアシュと呼ばれる。

posted by わーむうっど at 22:43| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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