2004年09月29日

レビヤタン

蛇だったり鯨だったり鰐だったり食料だったり…。

【レビヤタン(リヴァイアサン、レヴィアタン)】
◆出典◆
旧約聖書、『ヨブ記』3:8、41:1、『詩編』74:14、104:26、『イザヤ書』27:1など。
◆性格◆
大海獣、創造神に対する反抗者
◆容姿◆
硬い鱗に被われた巨大な蛇(龍)。鯨と鰐の中間のようなものとも。とてつもなく巨大。
◆解説◆
語源は不明だが「裂く」「曲げる」の意があるとされ、「とぐろを巻いた蛇」と呼ばれる。大地をぐるりと取り囲むことができる程大きい。
神は創造の5日目に、海の王としてレビヤタンの夫婦をつくり出したが、海が溢れることを懸念して片方を殺す。
また、メシアは世の終わりにレビヤタンを捕らえ、ベヒモスともども信仰篤い人々の貯蔵用食料として分かち与えるという。
◆補足◆
コラン・ド・プランシーの『地獄の辞典』では地獄の海軍大提督とされる。
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2004年09月14日

フェニックス

日本では「不死鳥」と訳されるが、厳密に言えば「転生鳥」ではないかと思う。

【フェニックス】
◆出自・出典◆
ギリシャ、ヘロドトス『歴史』、プリニウス『博物誌』など
◆性格◆
死と再生の象徴。魂の不滅性の象徴。
◆容姿◆
大きさと形は鷲に似る。羽毛はおおむね真紅(体は紫とも)。頸のまわりに金色の冠毛があり、尾は青と薔薇色。頭に羽毛のトサカが有る。
◆解説◆
語源はギリシャ語の「phoinix=ポイニクス」で「華麗な色」「ヤシの木」の両義。
生態については諸説有る。寿命は500年から12594年まで様々だが、広く知られているのは500年の説である。オウィディウスによれば、香木の樹脂やミョウガの汁を食べ、寿命が尽きる時、ヤシの木の最も高い枝にカシアの樹皮・甘松(ナルド)・肉桂の枝・没薬(ミルラ)などで巣を作り、芳香に包まれて死ぬという。
復活についても、現在良く知られているのは死んだ灰の中から新しく生まれ変わるというものだが、初期のヘロドトスの記述では親鳥が死ぬ前に雛鳥が生まれている。紀元1世紀頃になると親鳥の死骸に虫が湧き、その虫が成長してフェニックスになるという説が出てくる。時代が下るにつれ、より転生らしい方向へと変化したようだ。
フェニックスのモデルはエジプト神話のベヌウ(ベンヌとも)だとされている。
◆補足◆
コラン・ド・プランシーの『地獄の辞典』では20の軍団を従える地獄の大侯爵として紹介されている。
錬金術においては「完全な変成」を象徴する。
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2004年08月11日

ヒュドラ

引き続き、多頭型ドラゴンで。

【ヒュドラ】
◆出自◆
ギリシャ神話
◆性質◆
不死身に近い生命力を持つが、知能は動物並み。水場を好み、肉食。夜行性。猛毒を持つ。
◆容姿◆
9本の首を持つ巨大な水蛇、或いは竜。肌は毒性の粘液に被われている。
◆解説◆
名前の意味はギリシャ語の「水蛇」。テュフォーン(台風の語源になった巨人)とエキドナ(半人半蛇の怪物)の子。
ヘラクレスに与えられた12の功業の2番目がヒュドラ退治だ。
ヒュドラはアルゴス近郊のレルネー沼地にあるアミュモネーという泉に棲む。その毒で水場を汚染し、夜に住処を這い出しては、通りかかる旅人や家畜を襲って喰らうので、アルゴスの住民達は大変頭を悩ませていた。
ヒュドラ退治に向かったヘラクレスは、猛毒こそ身に纏う不死身のライオンの毛皮で防ぐことが出来たが、切り落とす度に2本に増える首には手を焼いた。さらに女神ヘラに妨害を命じられた巨大蟹カルキノスがヘラクレスの踵を狙って鋏を振り立ててくる。
ヘラクレスは大蟹を踏みつぶし、ヒュドラの再生する首は切断する傍から切り口を従者のイオラオスに焼かせることでこの試練を乗り切った。
◆補足◆
ヒュドラの、切り落としても再生する首は干拓することが出来ない湿地の象徴だと言われる。
星座では海蛇座に当たる。春に南の空に現れる全天で最も大きな星座(角度にして100度以上の幅)である。
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2004年08月09日

ヤマタノオロチ

今日は日本を代表する龍、八岐大蛇に登場していただこう。

【八岐大蛇】
◆出自◆
日本、記紀神話
◆性格◆
蛇体の水霊にして荒ぶる山の霊。生け贄を求める。酒好き。
◆容姿◆
八つの頭と八つの尾を持ち、八つの谷と八つの山を超える程の大きな体。背中に苔、檜、杉、松、柏などが繁っている。腹はにじみ出る血に染まり、16ある目は赤かがち(ホオズキ)のように赤く輝く。行くところには常に黒い雨雲がついてまわる。
◆解説◆
今更解説の必要は無いだろうというくらい有名な龍。

高天原を追放された須佐之男命は、出雲国肥川の上流、鳥髪(現在の島根県出雲地方の斐伊川上流、船通山)に降り立つ。川を見ていると一本の箸が流れて来たので、人を求めて上流へ向かう。
そこでは大山津見神(オオヤマツミノカミ)の子で足名椎(アシナヅチ)・手名椎(テナヅチ)という老夫婦とその娘、櫛名田姫(クシナダヒメ)が泣いていた。訳を訊ねると高志(北陸地方)から八岐大蛇がやってきて、八人いた娘を毎年一人ずつ食べてしまい、最後の一人である櫛名田姫も差し出さねばならないという。須佐之男命はそこで、姫を妻にもらえるなら八岐大蛇を退治すると申し出る。身分を明かすと夫婦は喜んでこれを受け入れた。
須佐之男命は櫛名田姫を湯津爪櫛に変身させ魔よけとして髪に差し、夫婦に八塩折の酒(何度も醸した強い酒)を用意させた。これを八つの酒だるに満たして待っていると、八岐大蛇が現れ、あっという間に飲み干して寝てしまう。須佐之男命は腰に佩いていた十拳剣(とつかのつるぎ=刃渡り80cm〜1m程の長剣)を抜き放つとその体を八つ裂きにする。そこから流れる血は川を赤く染めた。最後に尾を切ろうとすると何やら固いものに当たり、長剣の刃が欠けてしまう。そこから出てきたのが天叢雲剣(のちの草薙の剣)である。

八岐大蛇とは何ものなのか。それを解く手がかりになるのが尾から現れた天叢雲剣である。何故、龍の尾から剣が出るのか。
一説に、八岐大蛇とは当時鉄の産地を押さえていた異民族であるという。須佐之男命が降り立った鳥髪は古来、砂鉄の産地で、鉄器を製造する鍛冶部(かぬちべ=鍛冶技術者集団)がいたところでもある。これら技術者が鍛えた優れた剣、それが天叢雲剣だという。八岐大蛇の血で赤く染まったという肥川は、もともと砂鉄を含んだ赤い色をしていたようだし、大蛇の赤い目は製鉄の炎を差しているといわれる。このことから、須佐之男命の八岐大蛇退治は、大和民族が鉄を持った異民族を征服した史実が下敷きにあったとも考えられている。
他にも櫛名田姫を奇稲田(=美しい水田)姫とも書くことから、水田を穿つ大水が八岐大蛇で、治水をした英雄が須佐之男命だとも解釈される。
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2004年08月07日

スフィンクス

我が家のペット(うさぎ)を見ているといつも思い出すのはこれ。

【スフィンクス】
◆出自◆
エジプト
◆性格◆
王や王権の象徴にして守護者。
◆容姿◆
寝そべったライオンで顔が人間。エジプトでは主に男性だが、ギリシャでは女性。ギリシャ版はさらに背中に翼が有るとされる。
人間の顔をしたスフィンクスを特にアンドロスフィンクスとも呼ぶ。
まれに隼の頭をしたヒエコラスフィンクス、雄羊の頭をしたクリオスフィンクスもいる。
◆解説◆
スフィンクス自身はエジプト起源だが、スフィンクスという名はギリシャ起源である。語源はギリシャ語の「締め付ける」「首を絞める」という意味の「Sphink」。ではエジプトでの名前はというと一般名詞としては知られてない。有名なギザのスフィンクスは「生ける像(シェセプ・アンフ)」と呼ばれていたようだ。
ソフォクレスの悲劇「オイディプス王」でのスフィンクスは、テーバイの郊外に住み着いた怪物で、通りがかる者に謎掛けをし答えられぬととって食べていた。そこでテーバイではこのスフィンクスを退治出来た者を王にするというおふれをだし、オイディプスが謎を解いて王となる。
エジプトで王権の象徴であったスフィンクスが、海を超えたギリシャでも王権を象徴(怪物をうち負かして王になる)しているようで、面白い。
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2004年07月24日

ウロボロス

昔、こればかりノートの端に落書きしていたことが…。

【ウロボロス】
◆出自◆
ヨーロッパ
◆性格◆
無限。一にして全。
◆容姿◆
自分の尾を噛む蛇。
◆解説◆
古代ギリシャで、大地を取り巻く大洋の象徴として地図に描かれた。無限の象徴でも有り、万物の中に存在し、それらを結び付けるもの。
錬金術では二尾が互いに尾を噛み合う図が多く用いられる。それらは液体の加熱・気化・冷却・再液化という、完結しては新たにくり返す純化のプロセスを象徴する。
◆補足◆
裏づけは取れなかったのだが、北欧神話の世界蛇ヨルムンガンド(ミドガルズオルム)との関連が考えられる。ヨルムンガンドも世界を取り巻く程大きく、また、ラグナロク(神々の黄昏、最終戦争)の時まで自分の尾を口にくわえて海の底に身を横たえている。
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2004年07月20日

スレイプニル

今日は北欧神話から、俊足なこの馬に登場いただく。

【スレイプニル】
◆出自◆
北欧神話
◆性格◆
オーディンの愛馬。世界で最も早く、あらゆるところへ行ける。
◆容姿◆
八本足の灰色の馬
◆解説◆
名前の意味は「滑るように走る者」。
牡馬スヴァディルファリとロキの間に生まれ、ロキからオーディンに贈られた。
この結果に至るエピソードでの神々の仕打ちはかなり酷い。以下、簡単にその物語を記す。

神々は争いで崩れた城壁を直す為に一人の建築師を雇うが、その建築師の請求してきた代価というのが女神フレイヤと太陽と月。そこでロキの入れ知恵で、オーディンは城壁を六ヶ月で完成させることが出来れば、と条件をつける。ただで半分まで城壁を作らせようという魂胆で、不可能だと分かった上での提示だった。
しかし、建築師はフレイヤを諦めることが出来ず、馬を手伝わせても良ければ、と申し出る。オーディンは突っぱねるが、ロキがそのくらいのことではたいした影響は無いだろうと諭し、契約が成立する。
ところが、建築師と馬は物凄いスピードで城壁を積み上げてゆき、約束の日までに完成してしまいそうになる。責任を問われたロキは牝馬に変身して建築師の馬を誘惑し、城壁の完成をさまたげた。勿論、建築師は騙されたことに怒って抗議するが、雷神トールのハンマー、ミョルニルで頭を叩き潰され、あえなく殺害されてしまう。

結局殺してしまうなら、何もロキが妨害工作をしなくても良かったような気もするが、それを言ったら駿馬スレイプニルが生まれてこなかったわけで。
もしかしたらスレイプニルの誕生を説明するために、この神話は後付けで作られたのでは無いかと、そんな風にも思えてしまう。
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2004年07月16日

フンババ

『ギルガメッシュ叙事詩』を読んだので、ボルヘスの『幻獣事典』にも載っているフンババについて書く。

【フンババ】
◆出典◆
『ギルガメッシュ叙事詩』
◆性格◆
神の森の守護者
◆容姿◆
顔の真ん中に目が一つ。恐ろしい形相。外出をする時は七つの衣でしっかりと身支度をする。
(ゲオルグ・ブルックハルトによれば)前足が獅子のそれで、角のように固い鱗で全身が被われている。足には禿鷹の爪、頭には野牛の角。尾と男根の先端が蛇の頭になっている。
◆解説◆
世界最古の叙事詩とされる『ギルガメッシュ叙事詩』で、神の森にある杉の木を守っている幻獣。
嵐のような唸り声を持ち、口からは火と疫病をまき散らす。
視線は石化の力を持っていたが、ギルガメッシュに助力を請われた太陽神シャマシュが、焼けるような風でフンババの目を塞いだため、ギルガメッシュとエンキドゥに首を落とされた。
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2004年07月03日

ミルメコレオ

古今東西問わず想像上の動物には、現実の動物の一部分を合成したものが多い。その中でも今回は組み合わせの馬鹿馬鹿しさでは上位にランキングするであろうこの幻獣を御紹介する。

【ミルメコレオ】
◆出自◆
『旧約聖書』の誤訳から派生。フローベール『聖アントワーヌの誘惑』
◆容姿◆
体の前半分が獅子、後ろ半分が蟻で、性器が逆向きについている
◆解説◆
『旧約聖書』の「ヨブ記」第4章11節に「雄獅子、獲物なくして滅べば」というフレーズが有る。
ヘブライ語原典ではこの「獅子」という単語が「layish」となっているのだが、この語を「獅子」の意で使うことが珍しかったため、七十人訳ギリシャ語聖書は翻訳の際、アラビアの獅子の名、ミュルメクス(myrmex)を付け加え「ミュルメコ獅子」なる語をつくり出した。
ところがギリシャ語でミュルメクスは蟻を意味した。その為、「蟻獅子、獲物なくして滅べば」という誤訳が成立してしまい、それがミルメコレオなる蟻獅子の幻想を生み出した。
さて、そのミルメコレオだが、獅子が蟻の卵を妊娠させると生まれるという。
父親が肉を食べる獅子、母親が穀類を食べる蟻である為、母親の性質の為に肉が食えず、父親の性質の為に穀類も食えず、結局餓死してしまうのである。まさに「獲物なくして滅ぶ」わけである。
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2004年06月30日

ヒポグリフ

「ハリー・ポッター3」を観てきたので、今日はヒポグリフについて。

【ヒポグリフ】
◆出典◆
ルドヴィコ・アリオスト『狂えるオルランド』
◆性格◆
空を飛ぶことのできる、優秀な戦馬
◆容姿◆
鷲の頭と鈎爪の有る前足と翼を持つ馬
◆解説◆
グリフィンの牡が、普通の牝馬と交配することによって生まれる。氷に閉ざされた北方の山深い国に棲むとされているが、片親がグリフィンな為か、太陽のシンボルとされることもある(グリフィンは太陽に関連する二種の動物、ライオンと鷲の掛け合わせ)。その飛翔力は強く、月まで行くことも可能。
◆補足◆
もともとはローマの詩人ウェルギリウスが、叙事詩『アイネーイス』の中で「不可能なこと」の比喩に「グリフィンと馬との交配は、鹿と犬が一緒に水を飲むのと同様に有り得ない」と用いたのが始まり。
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