2006年12月02日

マヨイガ

【迷い家】
◆出典◆
柳田国男『遠野物語』63・64
◆性格◆
山中異界
◆景観◆
山奥に存在。立派な黒い門を入ると紅白の花が咲き乱れる大きな庭が有り、裏手には牛小屋・馬小屋に牛馬が多く居る。屋敷の玄関を上がれば次の間に朱と黒の膳椀が並び、奥座敷には火鉢が置かれ、その上で鉄瓶の湯がたぎっている。だが、人の姿だけはどこにも見あたらない。
◆解説◆
柳田国男が岩手県遠野地方で採取した怪異。自分の意志で行くことが出来ない為、迷い家と呼ばれる。幸運にもこの家に迷い込んだなら、家の中の物を何か持ち帰れば以後は富と幸運に恵まれるという。
通常の物語のパターン的には、ここで家の物を持ち帰るという「罪」を犯すと後で報復を受けそうなものなのだが、迷い家ではその法則は成り立たないようだ。それというのは、そもそも迷い家に迷い込むのは、家がその者に富を授けようと招くから、らしい。与えられる幸運は素直に受け取れということか。
尚、『遠野物語』には迷い家に迷い込んだ者の話が二つ載っており(63番と64番)、どちらの者も家から何も取らずに戻ってくるのだが、63番の女性の元には後日、追いかけるように椀が川を流れてきて、家が栄えたことになっている。
…よほど迷い家に気に入られたようだ。
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2004年07月10日

アヴァロン島

もうすぐ映画「キング・アーサー」が公開されるので…。

【アヴァロン島】
◆出自◆
アーサー王伝説、妖精伝説
◆性格◆
冥界、妖精の国
◆景観◆
湖と岩に囲まれた美しい島で、強風が吹くことも、雨や雪や雹が降ることも無い。
果樹の植えられた芝生、樹木の茂った窪地、奥行きの深い牧草地等が島を被い、アリマタヤのヨセフによって建てられた小さな教会がある。
◆解説◆
アヴァロンという名はケルト語でりんごを意味する。妖精(アーサーの異父姉モルガン・ル・フェイ)が治める国とも言われる。
『アーサー王の死』の中で、王は頭部に致命傷を負った際「私はこれからアヴァロンの島へ行き、この深い傷をなおさねばならぬのだ」と語り、舟に乗った。
物語の中でアーサー王の死が直接に語られない為、王を「過ぎし日の王にしてまた来るべき日の王」として、その帰還を信じる人々もいた。
アヴァロン島探しも行われ、候補地も幾つかあったようだが、1191年にイギリス南西部にあるグラストンベリーの修道院からアーサー王の墓が見つかったと公表され、教会による御墨付きを得る。アーサー王の名が刻まれた鉛の十字架や、傷痕のある頭蓋骨などが見つかり、小さな町は一躍有名になった。
グラストンベリーの東南には「ザ・トール」(小山の意)と呼ばれる標高160mほどの丘もあり、かつては湿地帯の中の島だったとも言われる。ザ・トールはもともと、先史時代に作られた宗教施設だとか、内部が空洞でドルイドの神殿があったとか、いろいろいわくのある場所であったようだ。
ただ、このグラストンベリーの「発見」は政治的・経済的背景を持つでっちあげだとする向きもあり、真偽は定かでは無い。が、それだけ人々の間でアーサー王という存在が大きかったという証明にはなるだろう。
アーサー王の憩うアヴァロン島とは、伝説を信じる人々にとって夢の島であることは間違い無い。
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2004年06月29日

コキュートス

毎日暑いので、少しでも涼しいことを考えてみる。

【コキュートス】
◆出典◆
ダンテ『神曲』
◆性格◆
地獄の最下層、氷地獄
◆解説◆
堕天使ルシファーが囚われている地獄の最下層。ルシファーを中心に外側から「カイーナ」「アンティノラ」「トロメア」「ジュデッカ」の4圏から成る。
「静かだった。どこまでも静かだった。音さえ凍りついていた。透き通る闇の中を、針のような風だけが、光を殺して突き抜けた。全てが凍りついていた」(ダンテ『神曲』 谷口江里也/訳)
中心にいるルシファーが三対六枚の翼を羽ばたかせることによって、凍てつく風がコキュートスを巡り、全ての罪人を凍り付かせている。
◆補足◆
ギリシャ神話の冥府に同名の「コキュートス川(嘆きの川)」という川が有る。これはステュクス川(憎しみの川)の支流のひとつで、アケロン川へ流れ込んでいる。ダンテの神曲ではステュクス川はステュクスという沼地になっているので、コキュートスもギリシャ神話の名称を元に再構成されたものと思われる。
posted by わーむうっど at 22:15| Comment(0) | 異界 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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