2006年12月05日

ヤルダバオト

【ヤルダバオト】
◆出典◆
グノーシス主義、「ヨハネのアポクリュフォン(秘書)」
◆性格◆
悪しき造物主。嫉妬する神。盲目の神。無知でひねくれ者。
◆容姿◆
蛇と獅子の姿をした不完全な存在。
◆解説◆
数あるグノーシス主義の神話のうち、ナグ・ハマディで発見された「ヨハネのアポクリュフォン」で語られる造物主。名前の意味は「ここまでやってきた子供」。デミウルゴス(意味は古代ギリシャ語で「民のために働くもの」)やサマエル(意味は「盲目の神」)と同一視される。

「至高のアイオーン(グノーシス主義における至高神)」の娘であるアイオーンのソフィア(意味はギリシャ語で「知恵」)を母とする。
ソフィアは生まれた子が自分に全く似ていなかったことからこれを恥じ、他のアイオーンたちに見つからぬよう雲の中に隠した。そこでヤルダバオトは自分に従う天使たちと地球を創造し、「我は誰をも必要とせず。我こそは神なり。我の他に神なし」と宣言する。この言葉に対し、母ソフィアはヤルダバオトを「サマエル(盲目の神)」と呼び返す。
また、至高神に似せて作られ、至高神自ら命を吹き込ませたアダムがヤルダバオトより優れた存在になったことに嫉妬し、アダムが光の魂である善悪の知識の木の実を得て完璧な存在にならぬようにこれを口にすることを強く禁じる。
◆補足◆
キリスト教が知識を悪と考えているのに対し、グノーシス主義は無知こそ悪と考えている。
このため、エデンの園にある善悪の知識の木に対する解釈が全く逆になり、グノーシス主義では知識の獲得を禁じる神=悪しき神とされる。
他にも物質が悪で精神が善とかいろいろあるのだが、グノーシス主義は多彩かつ奥深すぎるのでここでは軽く触れておくに止める。
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2004年09月28日

シン

今日は仲秋の名月…のはずが、曇天で消沈。ともかくも、当廃園は満月スペシャルです。今回はシュメールの月神シンを紹介。

【シン(別名:ナンナ)】
◆出自◆
シュメール神話。ウルとハランを中心に崇拝。
◆性格◆
月神。叡智ある神。邪な者達の敵。暦を司る神。
◆容姿◆
青鬚を生やした老人として描かれる。三日月型の船に乗る。
◆解説◆
神々の王エンリルが穀物の女神ニンリルを強姦して生ませた神。冥界で誕生した。
シンは「天の輝ける舟」と呼ばれ、夕方になると三日月型の舟に乗り夜空を渡る。
三日月を武器とし、満月を王冠とする。邪な者達の悪事を、その光によって暴くとされている。
偉大な女神ニンガルとの間に太陽神シャマシュ、金星の神イナンナ(イシュタル)、火神ヌスクをもうける。
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2004年09月27日

スーリヤ

近所に出来たカレー専門店がこんな名前でした。

【スーリヤ】
◆出典◆
『リグ・ヴェーダ』
◆性格◆
太陽神。慈悲深く、病気や災難から人を救う。
◆容姿◆
輝く金髪。三つ目。四本の腕。肌は赤色。手には蓮の華を持つ。七頭立ての黄金の戦車に乗る。シンボルはカギ十字。
◆解説◆
「スーリヤ・ナーラーヤン」とも。『リグ・ヴェーダ』には複数の太陽神が登場するが、スーリヤはそのうち最も明確に形容された神。火神アグニや雷神インドラと三神一座を成すとも言われる。
スーリヤは毎朝、司法神ヴァルナ(時代が下るとやや神格が落ち水神として知られるようになるが、当初は天空と自然法則をも司っていた)が敷く道を東から西へと戦車に乗って旅をする。この戦車の長さは『ヴィシュヌ・プラーナ』によると9000ヨージャナ(1ヨージャナ=7〜8km)、車軸は45000ヨージャナもある。戦車にはスーリヤの他に月代わりでアーディティヤ、アプサラス、蛇族、聖者、ヤクシャ、巨人、ガンダルヴァそれぞれの種族の代表が一人ずつ乗り込むという。
また、スーリヤの光は有名な武器の材料とされている。以下に概略を記す。

スーリヤは工芸神ヴィシュヴァカルマンの娘サンジュニャーと結婚した。が、サンジュニャーは夫の余りにも眩しすぎる光と熱に耐えかね、侍女チャーヤーを身替わりに仕立てスーリヤのもとから逃げてしまう。
そこでヴィシュヴァカルマンは娘夫婦の不仲の原因を取り除くため、スーリヤの光の8分の1を削り取る。この光を原料とし、ヴィシュヌのチャクラム、シヴァの三叉戟、軍神スカンダ(カルティケーヤ)の槍などの武器が作られた。
◆補足◆
ギリシャ神話のアポロンに類似。
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2004年09月15日

ベヌウ

…というわけで、フェニックスの原型登場。

【ベヌウ(ベンヌ)】
◆出自◆
エジプト、ヘリオポリス
◆性格◆
死と再生のシンボル。太陽の創造神。
◆容姿◆
初期の記録では鶺鴒(セキレイ)、その後青鷺(アオサギ)になり、新王国時代末期には青鷺の頭を持つ人間として描かれる。
◆解説◆
名前は「立ち上がるもの」の意。ベヌウの卵から、太陽が生まれたという。太陽神ラーの魂とも言われており、ラーはヘリオポリスのラー神殿にある「ベンベン石」というピラミッド型の石に降り立つ時にはベヌウの姿をとる。
また、後にオシリス信仰が盛んになると、ベヌウはオシリスの魂ともされるようになった。
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2004年09月02日

ペレ

浅間山が爆発したのを見て、火山の神ペレを思い出す。が、オセアニア神話は手持ち資料が無いに等しく…。でもまぁ、ここのモットーは広く浅くなので、と開き直ってみる。

【ペレ】
◆出自◆
オセアニア神話、ハワイ
◆性格◆
火山と破壊の女神。炎のように激しく、また嫉妬深い性格。
◆容姿◆
非常に美しく、多くの男性を魅了する
◆解説◆
ハワイ島キラウェア火山に住む女神。もともとはタヒチ(或いはサモア)の神で、海を渡ってきたとされる。
カモホアリ(兄)とナマカオカハイ(姉)とヒイアカ(妹)という兄妹がいる。
ナマカオカハイの夫を寝取ったことで、血みどろの争いを繰り広げた上、一度死んでいる。
ロヒアウという恋人が出来た時も、健気なヒイアカと彼の間を疑い、溶岩でロヒアウを石にしてしまうなど、かなり嫉妬深く激しい女神である。
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2004年08月30日

コンス

今日は例によって満月スペシャルです。

【コンス(ホンス)】
◆出自◆
エジプト、テーベ
◆性格◆
月神、宇宙の神、病の神
◆容姿◆
子供の印である巻き毛を生やしたミイラの姿。頭部に三日月の上に乗った月の円盤を頂く。
或いは、隼頭の男性や隼頭の鰐の姿のことも。
◆解説◆
名前は「ヘネス」(横切る、旅をする)から派生した「横切るもの」「旅人」、もしくは「王の胎盤」を意味する。
テーベ起源の月神で、「神々を捌く世継ぎの王子」の称号を持つ。
三日月が半月鎌やナイフのシンボルであった為か、残酷で血なまぐさい神とされることもある。コンスが三日月を武器として戦い、人間の肉を食べたという記録も見つかっている。
月が人体に影響を与えることから、病をもたらす神であり同時に病を癒す神でもある。
テーベでは至高神アモンと神聖母神ムトの息子とされた。後に、同じく月を司る神であり智恵の神でもあるトトと習合し、マアト(絶対の真理を擬人化した女神、トトの妻)の書記としての側面を獲得する。
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バステト

猫好きの神かも。

【バステト】
◆出自◆
エジプト、ブバスティスの地方神
◆性格◆
元来はライオンの頭を持ち、ファラオを守る戦神だったが、第12王朝頃から猫の女神として、愛情と多産を司るようになる。後に、同じ愛の神ハトホルとも習合し、音楽の神としての側面をも付与される。また新王国時代には、ラーの敵で暗闇の化身であるアポピスという蛇と戦い、ラーの航海を助ける役割を持つようになる。
◆容姿◆
頭が雌猫(或いは雌ライオン)で、体が人間。長い縞と小さな袖のついた異国風の服を着、首には幅広の首飾りを巻いている。手にはシストルム(ガラガラのような楽器)とアイギスという盾を持ち、左腕には籠を下げている。
◆解説◆
バステトの名は「ブバスティスの女主人」の意。
最初に猫を家畜としたのは古代エジプト人で、ネズミを駆除するために山猫を飼いならしたのが始まり。しかし、人々は次第に猫の魅力にとりつかれ、信仰の対象になるに至った。
バステトが主に信仰されたブバスティスでは、共同墓地から猫のミイラも見つかっており、家の猫が死ぬと家人は眉毛を剃って死を悼んだという。
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2004年08月05日

フレイヤ

女神が続きますが。

【フレイヤ】
◆出典◆
北欧神話
◆性格◆
美と愛と豊穣の女神。性的に奔放な性格。宝飾品に目が無い。魔女としての側面も持つ。
◆容姿◆
とても美しい。黄金の首飾りブリーシンガメンを身につけ、二匹の猫に引かせた車を駆る。
◆解説◆
北欧神話に出てくるアース神族とヴァン神族の内、後者に属する女神。アース神族がヴァン神族の女神グルヴェイグを殺害したために両神族は激しく争っていたが、やがて戦いに疲れた神々は和平を望み、アース神族からは足長のヘーニルと賢いミーミルを、ヴァン神族からはニヨルドとその子フレイ、フレイの妹であるフレイヤ、そして賢者クヴァシルが人質として相手方に差し出された。
美しいフレイヤはしばしば巨人族や小人族から所望され、それが問題を引き起こす。実はオードという夫も居たのだが、フレイヤの前を去っており、時折フレイヤは彼を思って涙を流す。
フレイヤはヴァン神族が得意とするセイズ魔術(巫術)の使い手で、アース神族の主神オーディンにセイズ魔術の極意を授けたとされる。
◆補足◆
アース神族は遊牧・狩猟民族的な気質を持つ神々、ヴァン神族は農耕民族的な気質を持つ神々で、異なる神々を信奉する二つの民族の間に争いが有り、やがて和解・融和していった経緯が神話となったものと思われる。
セイズ魔術は守護霊や祖霊を自らの身体に憑依させてトランス状態となり、予言を行う魔術。アース神族にはガンド魔術という魔術が伝わっており、こちらは脱魂(幽体離脱)魔術とされる。
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2004年08月02日

アテナ

オリンピック開催が迫る今日この頃。アテネの守護神アテナについて書いてみる。

【アテナ(別名:アテネ、パラス・アテナ)】
◆出自◆
ギリシャ神話
◆性格◆
戦いと知恵と技芸の女神。人間には好意的。
◆容姿◆
甲冑を身に纏い、槍と盾を手にした美しい女神。尚、盾にはペルセウスから献上されたメデューサの首が取り付けられている。シンボルは梟。
◆解説◆
オリンポス十二神の一人で、ゼウスの娘。同じく戦いの神であるアレスとは仲が悪い。というのは、アレスが戦を好み、攻撃的な性格であるのに対して、アテナは戦を好まず、その戦いは防御的な戦いであるからだという。
誕生は風変わり。子に王位を簒奪されることを恐れたゼウスが、身重の母親メティスともどもアテナを飲み込んでしまったので、アテナはゼウスの頭に宿る。月が満ちるとゼウスは頭痛に苦しみ、ヘパイストス(一説にプロメテウス)に命じて斧で頭を叩き割らせた。するとアテナはゼウスの頭から武装した姿で誕生した。
都市の守護を巡り、ポセイドンとどちらがより人間の役に立つものを贈ることができるかを勝負したこともある。ポセイドンは馬を、アテナはオリーブの木を贈り、人々はオリーブを選んだ。こうしてその都市はアテナが守護することになり、都市はその名をアテナイと名乗るようになった。
パラス・アテナという別名は、アテナが槍を持っていることから「パラス=槍をかざす者」と名づけられたという説がある。
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2004年07月30日

モト

昨日の続きで、モトについて。

【モト】
◆出自◆
ウガリット神話
◆性格◆
死と不毛の神
◆解説◆
雨季の後には乾季が来る。モトは乾季を象徴する神である。このため、雨季を司る豊穣神バアルは神話の中で、モトに破れ去る。
その部分の物語を簡単に記す。

ヤムに打ち勝ち、支配者となったバアルは宮殿を建てる。その心に去来する心配事は彼の敵、死と不毛の神モトのことだった。バアルはモトの住処である地下の死の国に使者を遣わし、その統治する土地から離れぬ様命じる。これに激怒したモトは逆にバアルを自分の国へと招待する。バアルはしぶしぶながら死の国に赴くが、そこで死の国の食物を口にしてしまい、死の虜となる。
バアルが失われると地上には干ばつが起こり、草木は成長せず、大地は衰え始めた。
大神エルは、バアルは死んだと叫び、喪服に身を包む。しかし、兄の死を諦めきれない戦の女神アナトは、太陽の女神の力を借り、死の国からバアルのなきがらを奪還。その後、モトに戦いを挑み、彼を剣で引き裂き、肉を火にくべ、臼でひき、大地にまき散らした。
バアルはその後、死より復活する。
しかしモトもまた七年後に再び復活し、バアルに戦いを挑むことになる。

◆補足◆
この物語において興味深いもう一つの点は「死者の国の食べ物を口にしたものは死の虜となる」という考えだろう。
ギリシャ神話のペルセフォネや記紀神話の伊邪那美神にも共通する認識である。
また、処女神アナトはインドのカーリーの様に恐ろしい戦女神なのだが、太陽の力を借りて豊穣を取り戻すところなど、女神の生命力を感じさせる役割をも果たしている。魅力的な女神であると思う。
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2004年07月29日

ヤム

バアルを書く前にヤムを紹介するハズし具合が、ここ風味かと…。

【ヤム】
◆出自◆
ウガリット神話
◆性格◆
海神(河川の神とも)。強欲で乱暴者。
◆容姿◆

◆解説◆
まずは簡単に、ヤムの出てくる神話の概説をば。

時の初めに地上の支配者を決めるに際し、雨と大気の神バアルと海と河川の神ヤムが名乗りを上げた。結局、大神エルによって王に選ばれたのはヤム。
しかしヤムは王になるやいなや暴虐の限りを尽くし、法外な貢ぎ物を要求しては神々を困らせた。誰もがヤムの力を恐れて戦うことを尻込む中、女神アスタルテが懐柔を試みようと立候補する。アスタルテの美しさに心を奪われたヤムは、彼女を所望し、その話を聞いたバアルはヤムとの戦いを決意する。
力で勝るヤムと戦う為、アスタルテの助言を受けてバアルはコシャル・ハシスという技術神に、遠くから投げ付け、的を外れた場合は自動的に手許に戻る二本の魔法の棍棒(雷光の象徴であるとされる)「駆逐者」と「反撥者」を作らせた。
駆逐者は的を外れたが、反撥者は見事ヤムの体を打ち据え、これを打ち倒すことに成功する。

天の水の神と地の水の神、どちらが地上の覇権を得るかという物語になっているが、シリア・パレスチナにおける季節の移ろいを説明している自然神話でもある。
今回はその前半部分で、雨の力が最大になり、河川をねじ曲げる季節までの部分なのだが、その後、バアルの前には新たな敵、死と渇きの神モトが立ちふさがることになる。
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2004年07月28日

シンテオトル

トウモロコシの美味しい季節になった。アステカの神々に思いを馳せてみる。

【シンテオトル(センテオトル)】
◆出自◆
アステカ神話
◆性格◆
トウモロコシの神
◆容姿◆
トウモロコシの穂軸の頭飾りをつけた若々しい姿
◆解説◆
大地の女神トラソルテオトル(一説にチコメコアトル)の息子で、ケツァルコアトルの化身の一つ。雨の神トラロックの庇護を受けている。
トウモロコシを主食としていた古代アステカでは重要な神で、広く信仰されていた。四月になると人々は、実り豊かな季節を願うため、葦にたらした血を家々の入り口においてこの神に捧げた。
また、ヨワルテウクティン(9人の夜の神々)の一人。マヤではユム・カアシュと呼ばれる。

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2004年07月18日

ヤタガラス

サッカー日本代表のシンボルマークになっていることで有名かもしれない。

【八咫烏(ヤタガラス)】
◆出典◆
『記紀神話』
◆性格◆
先導神(ミサキガミ)。太陽に関連。
◆容姿◆
三本足の大烏。
◆解説◆
『古事記』では高木大神(高御産巣日神)、『日本書紀』では天照大御神の御使いとされる。
神武天皇東征の折、熊野の荒ぶる神々に苦戦する天皇を導くべく遣わされた。また、大和国宇陀の兄宇迦斯(エウカシ)・弟宇迦斯(オトウカシ)兄弟に帰順を勧める使いともなる。
八咫烏の「咫(アタ)」は、上代の長さの単位で約18cm。
八咫は18×8=144cmということになる。ただし、八咫は「長い、大きい」という意味もあるので、八咫烏の正確な大きさとは言えないかも知れない。
賀茂建角身命(カモタケツヌミノミコト)の化身ともされる。
◆補足◆
月に兎が住むといわれるように、太陽には烏が住むという考えが古代から中国・朝鮮など、アジアの国々にあった。例えば「射日神話」では増え過ぎた太陽を射落とすと三本足の烏になったという。これが日本に伝わって八咫烏の元になったようだ。
法隆寺に伝来する国宝「玉虫厨子」にも、太陽の中の三本足の烏が描かれている。
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2004年07月07日

ノルニル

昨日、棚機津女を書いていてふと思い出したのが北欧神話のノルニル。「水辺」で「機を織る」≠「糸を紡ぐ」と、キーワードに類似性が見出せるのだが。

【ノルニル(単数形はノルン)】
◆出自◆
北欧神話、『古エッダ』『新エッダ』
◆性格◆
人と神の運命を司る
◆解説◆
ノルニルは「ウルド」「ヴェルダンディー」「スクルド」の三姉妹からなる運命の女神である。
長女ウルドの名は「運命」「編む者」の意で、過去を司る。古代高地ドイツ語ではWurdと表記され、これは大地を表す。もともと運命を司っていたのはこのウルド一人で、後から二人の妹が付け加えられたとも言われる。
次女ヴェルダンディーの名は「必然」「紡ぐ者」の意。現在を司り、三人の中で最も母性的な性格をしている。
三女スクルドの名は「存在」「債務・義務」の意。未来を司る。死や滅びを司る神でも有り、英雄の魂をヴァルハラへ導くヴァルキューレの一人でもある。
ノルニルは世界樹「ユグドラシル」の三本の根のうち、アースガルドに伸びた一本の根元に湧く「ウルドの泉」で、ユグドラシルの世話をしながら運命を定め、記録している。
北欧神話の主神たるオーディンですら、彼女達の語る予言には逆らえない。
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2004年07月06日

棚機津女

明日は七夕。しかし、実は七夕というのは江戸時代まで七月六日から七日にかけての夜だったということは余り知られて無い。
そんなわけで、今日は七夕の行事と、七夕神「棚機津女(タナバタツメ)」について概略を御紹介する。

【棚機津女(別名:織女、機織姫、織姫)】
◆出自◆
日本古来の客神を迎える行事
◆性格◆
技芸・豊作の守護神
◆解説◆
七夕の成り立ちを乱暴を承知でごく簡単に言えば「日本古来の、水場で客神を迎える処女+中国の牽牛・織女伝説+中国の乞巧奠(きっこうてん)の行事」となる。
中国の伝説中の織女星(琴座のベガ)と習合しているが、棚機津女は盆に入る前、祖霊や客神(まれびと)を迎えるため水場で機を織りつつ待つ処女が神格化したもので、我が国古来の存在。水場なのは穢れを払う意味が有り、機織りをするのは織り上がった布を祖先に捧げる儀礼があったからだと言われる。
「牽牛・織女」が天の川を挟んで相対するという伝説は中国のもので、『詩経』にも見られる。それが恋人同士とされるようになったのは後漢時代(二世紀)、一年に一度出会うとされたのは六朝時代(三世紀)からという。
一方、中国には旧暦七月七日に女子が手先が器用になるよう願いをかける「乞巧奠」という行事もあった。
「牽牛・織女」伝説と「乞巧奠」行事が奈良時代に日本に伝わり、乞巧奠の名称で宮中にて盛んに行われるようになる。
今の形で庶民の間に浸透したのは江戸時代に入ってから。
◆補足◆
御利益は機織り、裁縫、書道をはじめ、習い事全般の上達。また、五穀豊穣、疫病除け、虫除けなど。
それから七夕に顔を水で七回洗うと美しくなるという伝承も有る。試してみてはいかがだろうか。
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2004年07月02日

月読命

今宵は満月。窓から月を眺めつつ、我が国の月神、月読命について書く。

【月読命(ツキヨミノミコト 別名:月弓尊、月夜見尊)】
◆出自◆
記紀神話(日本神話)
◆性格◆
月神、農耕神、海神、卜占神。荒ぶる男神。
◆解説◆
黄泉の国から帰還した伊邪那岐神が禊をした際、右目から生まれた三貴士の一。
太陽神である天照大御神が皇祖神として盛大に奉られるのに対して、月読命はやや影が薄い。
名称である「月読」の「ヨミ」は月の満ち欠けを数えるの意で、暦のことでもある。暦を読み解くことから、農耕や占いにも関わりのある神である。
農耕神としての性格は、食物神である「保食神(ウケモチノカミ)」を殺害するというエピソードが良く表している(『日本書紀』)。
月読命は姉の天照大御神の使いで保食神の元を訪れた際、保食神が口から食べ物を吐き出しているのを見て「汚らしい」と怒り、殺してしまう。その結果、死んだ保食神の身体からは五穀が生じる。神の死体から穀物が生じるというのは全世界に遍在する典型的な穀物起源神話である(ちなみにこの非道な振る舞いに怒った天照大御神は、月読命に「汝は悪き神なり、相見るべくもあらじ」と言い、以後、二神は昼と夜に分かれて住むことになった)。
月の満ち欠けが海の干満に影響することから月読命は海神ともされ、『古事記』では伊邪那岐神から蒼海原の統治を直接命じられている。
さらに月の満ち欠けが「死と再生」「老いと若返り」を想起させることから、月神が若返りの水をもたらすという信仰が古くからあった。現在も正月の「若水汲み」の行事にこの信仰の名残りが伺える。
◆補足◆
月読命は一説に農事を卜する職の神格化された神とも言われる。
『古事記』での穀物起源神話は須佐之男命が大気津比売神(オオゲツヒメノカミ)を殺してしまうという話である。この為、元来月読命と須佐之男命は同一神だったのではないかという説もある。
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2004年06月27日

オシラ様

今日は一日の生活の中で「養蚕」の話題が出たので、養蚕の神「オシラサマ」について書く。

【オシラ様(別名:オコナイ様、オシンメ様、カバカワ様、等)】
◆出自◆
東北地方中心に広く民間信仰、柳田国男『遠野物語』
◆性格◆
蚕神、家の神、農神、福神
◆容姿◆
長さ30センチ程の桑の木に男女(姫や僧侶の場合も)、或いは馬の顔を彫りつけ(或いは墨書き)、オセンダクという布を幾重にも巻き付けた人形
◆物語◆
ある長者の家で飼われていた名馬がその家の姫(観音の申し子とされる)に恋をする。長者は怒ってその馬の首を切り、皮を河原にさらした。3/16に姫がこれを供養しに行くと、皮はクルクルと姫の身体に巻き付き、姫はそのまま昇天した。
翌年の3/16、空から白い虫と黒い虫が降ってきて桑の木に止まり桑の葉を食べた。白い虫は姫に、黒い虫は馬に似ていた。
長者はこの虫から糸を取ってさらに富みを築いたという。これが養蚕の起源とされる。
似たような話は中国の古書『捜神記』『太古蚕馬記』にも見られる。
◆補足◆
オシラ様の祭日は「オシラアソビ(オシラアソバセとも)」といい、1月、3月、9月の16日がこれにあたる。
蚕神は女神であるという信仰が根底にあり、オシラ様の祭祀はもともとその家の家刀自(主婦)がとりしきってきた。
現在はイタコが春・秋2回の祭日に「オシラ祭文」を唱えながら両手に持ったオシラ様を空中で踊らせるような仕種をする。それが終わると、村や家々の吉凶が占われる。
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ミトラス

一番初めに何を書こうかと悩んだ末、「タロットカード」の1番目に当たる「魔術師(マジシャン)」を考えてみた。
「マジシャン」の語源「マゴス(Magus)」(複数形はマギMagi)は古代ペルシャの神「ミトラス」に仕える司祭のことである。
というわけで、「ミトラス」について書くことにする。

【ミトラス(別名:ミスラ、ミトラ)】
◆出自◆ゾロアスター教『アヴェスター』、ミトラス教、『ヴェーダ』
◆性格◆
太陽神・契約神・戦神・牧畜神・使者の裁判官
◆容姿◆白い布や鎧を身につけ、赤いマントを羽織った若者の姿。マントの裏地は濃紺で、星々が縫い取られている。
または、弓矢を背負い、フリュギア帽(円錐状の長烏帽子)を頭に乗せた姿。
◆神話◆
アフラ・マズダとアーリマンの戦いによって死滅した世界に現れ「聖牛の供儀」を行い、世界を再生させた。これにより、天上の王権をアフラ・マズダより引き継ぎ、主神となった。
◆成立◆
元来はイランで信仰されていた太陽神・契約神・戦神。
インドでは契約と友愛の神「ミトラ」として『ヴェーダ』文献に登場する。
現存する世界最古の教団宗教「ゾロアスター教(拝火教)」が出現した際、他の多くの地方神とともに神話体系が整理され、「ミスラ」という名で牧畜神・契約神・死者の裁判官として善の神アフラ・マズダの下に編入される。
紀元前1世紀頃にはギリシャの太陽神ヘリオスと習合し、「ミトラス教」が成立し、主神となる。のちにミトラス教はキリスト教とともに世界を二分する宗教になる。
ミトラス教は男性のみの宗教で、ローマ帝国の兵士達に盛んに信仰される。7つの位階が有り、下から順に「大鴉」「花嫁」「兵士」「獅子」「ペルシャ人」「太陽の使者」「父」と呼ばれる。
◆補足◆
現在キリスト生誕の日とされる12月25日は、もともとはミトラス教における太陽神ミトラス復活の為の冬至の大祭である。
仏教では弥勒菩薩(マイトレーヤ)と呼ばれる。
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