2006年12月05日

ヤルダバオト

【ヤルダバオト】
◆出典◆
グノーシス主義、「ヨハネのアポクリュフォン(秘書)」
◆性格◆
悪しき造物主。嫉妬する神。盲目の神。無知でひねくれ者。
◆容姿◆
蛇と獅子の姿をした不完全な存在。
◆解説◆
数あるグノーシス主義の神話のうち、ナグ・ハマディで発見された「ヨハネのアポクリュフォン」で語られる造物主。名前の意味は「ここまでやってきた子供」。デミウルゴス(意味は古代ギリシャ語で「民のために働くもの」)やサマエル(意味は「盲目の神」)と同一視される。

「至高のアイオーン(グノーシス主義における至高神)」の娘であるアイオーンのソフィア(意味はギリシャ語で「知恵」)を母とする。
ソフィアは生まれた子が自分に全く似ていなかったことからこれを恥じ、他のアイオーンたちに見つからぬよう雲の中に隠した。そこでヤルダバオトは自分に従う天使たちと地球を創造し、「我は誰をも必要とせず。我こそは神なり。我の他に神なし」と宣言する。この言葉に対し、母ソフィアはヤルダバオトを「サマエル(盲目の神)」と呼び返す。
また、至高神に似せて作られ、至高神自ら命を吹き込ませたアダムがヤルダバオトより優れた存在になったことに嫉妬し、アダムが光の魂である善悪の知識の木の実を得て完璧な存在にならぬようにこれを口にすることを強く禁じる。
◆補足◆
キリスト教が知識を悪と考えているのに対し、グノーシス主義は無知こそ悪と考えている。
このため、エデンの園にある善悪の知識の木に対する解釈が全く逆になり、グノーシス主義では知識の獲得を禁じる神=悪しき神とされる。
他にも物質が悪で精神が善とかいろいろあるのだが、グノーシス主義は多彩かつ奥深すぎるのでここでは軽く触れておくに止める。
posted by わーむうっど at 01:23| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月02日

マヨイガ

【迷い家】
◆出典◆
柳田国男『遠野物語』63・64
◆性格◆
山中異界
◆景観◆
山奥に存在。立派な黒い門を入ると紅白の花が咲き乱れる大きな庭が有り、裏手には牛小屋・馬小屋に牛馬が多く居る。屋敷の玄関を上がれば次の間に朱と黒の膳椀が並び、奥座敷には火鉢が置かれ、その上で鉄瓶の湯がたぎっている。だが、人の姿だけはどこにも見あたらない。
◆解説◆
柳田国男が岩手県遠野地方で採取した怪異。自分の意志で行くことが出来ない為、迷い家と呼ばれる。幸運にもこの家に迷い込んだなら、家の中の物を何か持ち帰れば以後は富と幸運に恵まれるという。
通常の物語のパターン的には、ここで家の物を持ち帰るという「罪」を犯すと後で報復を受けそうなものなのだが、迷い家ではその法則は成り立たないようだ。それというのは、そもそも迷い家に迷い込むのは、家がその者に富を授けようと招くから、らしい。与えられる幸運は素直に受け取れということか。
尚、『遠野物語』には迷い家に迷い込んだ者の話が二つ載っており(63番と64番)、どちらの者も家から何も取らずに戻ってくるのだが、63番の女性の元には後日、追いかけるように椀が川を流れてきて、家が栄えたことになっている。
…よほど迷い家に気に入られたようだ。
posted by わーむうっど at 21:42| Comment(0) | 異界 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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